国際シンポジウム「ゆれるカーテンの向こう側ー中国、ロシア、朝鮮のフェミニズムVol.2」のお知らせ
日時:10月4日 17:30開場(zoomは17:55から入室)18:00 – 21:15
場所:明治大学駿河台キャンパス リバティータワー10階1103教室
申し込み:https://curtain02.peatix.com
※オンライン・会場併用のハイブリッド開催、録画提供有、リアルタイム日本語字幕付き
<概要>
近くて遠い国、中国、ロシア、朝鮮。なぜ日本に住む私たちは、地理的にはこんなに近い国に、こんなに近寄りがたく、遠い気持ちを抱いているのか。そこにはレイシズムや植民地主義だけではなく、日本に根深い「反共」の影響があるのではないでしょうか。
ジェンダー、フェミニズムの課題に限っても、社会主義体制の国々のフェミニストたちは、日本に住む私たちと異なる歴史を経験してきました。「反共」の視点に陥ることなくその経験を理解するためには、私たち自身の歴史、経験、ものの見方も問い直さなければなりません。
冷戦はおわれども、わたしたちを隔てるカーテンは揺らめきながらまだ存在しています。本シンポジウムでは2016年に開催された「ゆれるカーテンの向こう側」の問題意識をさらにアップデートし、中国、ロシア、朝鮮のフェミニズムについてパネリストからお話しいただきます。
■発表内容(すべて日-中の逐次通訳有り)
馮媛さん「フェミニスト活動家は中国にどんな変革をもたらしたか」
中国の草の根フェミニズムは、この30年以上国家主義と駆け引きし、制度の隙間から芽を出し、たわみつつも成長してきた。この過程で、フェミニズムの単一性と多様性はどのような点で変化し、また変化しなかったのか? その原動力、関心を集めるテーマ、活動の場や手法はどう変わって来たか? フェミニズムはどのような点で、党国家体制や根深い文化的慣習に影響を与えてきたか?
Ayaさん「中国西南部における女性とトランスジェンダーのセックスワーカー支援」
中国大陸におけるセックスワーカーに対する社会通念や法体系の中で、「セックスワーク・イズ・ワーク」の立場に立つグループは、「サービス提供+権利擁護活動」のスタイルをとって、セックスワーカーの生きる状況を改善するべく、この20年以上活動を続けてきた。本報告では、中国の南西部地域で報告者が、女性やトランスジェンダーのセックスワーカーに対しセクシュアル・ヘルスやメンタル・ヘルスのサポートをする中で見た、セックスワーカーがサバイブするために直面する問題と、それに対する様々な権利擁護の成果、残された課題についてお話しする。
金真美さん「社会主義的な家族概念の変化 朝鮮の場合」
日本による朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)に対する経済制裁の一貫として、私は国境を超えた移動を制限されてきたし、法的にも社会的にも「北朝鮮国民」として扱われることで、厳しい管理下に置かれている。こうした状況のもと在日朝鮮人女性として自らの存在を定義するため、またネイションを独自に解釈するため、朝鮮文学を手掛かりに朝鮮のフェミニズムに接してきた。本発表では、社会主義的な家族概念がどのように変化してきたのかを、朝鮮社会の歴史的背景と大衆文化との関連性を視野におさめたアプローチから紐解いてみたい。
高柳聡子さん「反体制運動としてのフェミニズム ロシアの場合」
ロシアのフェミニストたちの活動は現在、反戦運動を軸として明確な反体制運動となっている。2022年のウクライナへの軍事侵攻の際には、フェミニストたちがその活動を政治的なものとすると宣言しているし、政治犯として逮捕されたり国外追放になる活動家たちも少なくない。本発表では、ロシアのフェミニストたちの現状と、その活動方法をご紹介するとともに、ソ連時代にも目を向け、ソ連・ロシアのフェミニズム運動が常に政治との闘いであることを指摘したい。それは、独自の歴史と思想をもつように感じられるが、政治の腐敗や戦争といった大きな問題に立ち向かう女性たちの姿には学ぶことも多い。
→発表の後、休憩を挟んでコメンテーターによるコメント、そしてパネルディスカッションと質疑応答に進みます。
パネリスト紹介
・馮媛さん(イクオリティ・ベイジン)
イクオリティ・ベイジン女性サポートホットラインのマネージャー。1986~2006年の間、報道記者を務め、2006年以後貧困救済とコミュニティ開発、大学、反DV団体などで仕事をする。1990年代半ば以降、多くの女性の権利とジェンダー平等の団体を設立、参加し、国内外で多くの文章と書籍を発表する。これまで、以下の大学で訪問学者として招聘された。スウェーデン・ルンド大学(1998)、アメリカ・ハーバード大学(2001-2002)、香港大学(2019-2020)、日本・東京大学(2023年)。
・Ayaさん
中国のセックスワーカー、クィアのサポートワーク従事者。
・高柳聡子さん(ロシア文学研究者)
大学非常勤講師。専門はロシア語圏の女性文学、フェミニズム史。主な著書・訳書に、『ロシアの女性誌時代を映す女たち』(群像社,2018年),イリヤー・チラーキ『集中治療室の手紙』(群像社,2019年)、ダリア・セレンコ『女の子たちと公的機関』(エトセトラブックス、2023年)など。ロシア語文化圏における女性たちの声を記録している。
・金真美さん(朝鮮文学研究者)
朝鮮大学校文学歴史学部准教授。2010年、金日成綜合大学文学大学実習過程修了、朝鮮作家同盟中央委員会候補盟員登録。2015年、朝鮮民主主義人民共和国文学碩士。論文に「朝鮮映画にみる『家庭革命化』政策の展開―シリーズ映画『わが家の問題』を中心に―」(日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)「文化としての社会主義:北東アジアとDPRK」2021年)、『Changes in Womens Policies of the Democratic People
s Republic of Korea and Images of Women as Reflected in Popular Music』(「S/N KOREAN HUMANITIES」Volume8 Issue1、2022年)など。
■コメンテーター・司会者・通訳者紹介
・西西さん 学術の世界に迷い込んだ一人のアクティビスト。現在、香港の大学でリサーチアシスタントとして勤務しており、プラットフォームのマネージメントとその労働形態に関する研究に取り組んでいます。研究を通じて運動の経験を振り返ることを目指しています。格闘技とハイキングが趣味で、近年は身体と社会運動の間を行き来しています。
・馬蘭さん ジェンダ―、フェミニズムとクィアのアクティビストとして10年以上活動してきました。現在は中国で心理カウンセラーとして働いています。
・巣内尚子さん(オンライン参加)岐阜大学所属。専門は国際社会学。
・稲葉奈々子さん 上智大学所属。専門は社会学。
司会、コーディネーター 梁・永山聡子さん
通訳、コーディネーター 熱田敬子さん
通訳 黄昱翔さん
<お問い合わせ>
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