内閣府「日本学術会議の在り方についての方針」についての声明
内閣府が令和4(2022)年12月6日に公表した「日本学術会議の在り方についての方針」は、①「政府等と問題意識や時間軸等を共有」することや、②「会員等以外による推薦などの第三者の参画」を、日本学術会議に求めています。
このことは、権威や権力からの自律という学問・研究の基本的な存立要件が損なわれる可能性への不安を私たちに惹起し、2020年に日本学術会議が第25期会員候補者として推薦した105名の研究者のうち6名が内閣総理大臣により任命されなかったような事態が今後恒常化するのではないかとの危惧を抱かせます。
このような事態は、学問の自立性を脅かすものであり、ひいては憲法で定められた思想や表現の自由に対する脅威になりかねないと考えます。学問は政府から自律し、長期的・世界的な視野を持ってこそ、政府に対しても適切かつ有効な提言をおこなうことができます。
文化の健全かつ自由な発展をめざす人文系の学会である日本ロシア文学会は、上記①・②の2点について、日本学術会議が令和4(2022)年12月21日に発出した声明「内閣府「日本学術会議の在り方についての方針」 (令和 4年12月 6日)について再考を求めます」で示した危惧を共有し、「日本学術会議の在り方についての方針」の見直しを求めます。
2023年2月15日 日本ロシア文学会 理事会
会長 中村唯史