26、27日には、3会場を使用しての研究発表会、学会大賞受賞記念講演、そして総会が行われました。今大会では、国際参加枠でロシアから来日した3名を加え、合計31の個別発表、7つのワークショップがプログラムに並びました。ワークショップの一つは英国シェフィールド大学のエフゲーニー・ドブレンコ氏を中心とした企画で、本学会の国際化が着実に進んでいることを実証するものでした。2日目最後のワークショップの終了が夕方5時、最終的な参加者総数288名(うち会員222名)と、本大会は過去最大級といってもよい盛会となりました。人数だけでなく、発表のテーマも、中世から現代までの文学や思想、芸術、言語、フォークロアなど多岐にわたり、2日間を通して会員の研究フィールドの広がり、また学際的アプローチの発展が示されたといえるでしょう。26日午後にはまた、今年度の学会大賞受賞者である佐藤昭裕京都大学名誉教授による大賞受賞記念講演があり、『ロシア原初年代記』の読み方についての貴重な講演を聞くことができました。じっくりテクストに向き合い、一つ一つの語の意味やテクストの中でのつながりを考えるという、語学・文学に共通した研究の基本姿勢の大切さをあらためて感じさせられました。本大会の会場を提供してくださった早稲田大学の関係者各位、また本大会の実施に尽力くださった方々に感謝いたします。
26日の総会では、2018/19年度の決算と2019/20年度の予算、また2019〜2021年度の理事会・委員会メンバーの承認が審議されました。本学会はここ数年、かなり深刻な収入減の問題を抱えていましたが、これは会費未納分が溜まっていたためと判明し、督促を行った結果200万円を超える増収となりました。ともかく危機的状況は脱したことになります。本会の会計年は、4月開始の学年暦などとずれるため、「うっかり忘れた」「払ったつもり」という方が少なくなかったと思います。今後も事務局から、会費未納の会員の方へ定期的に督促を行い(借金取りのようで気がひけますが)収入の確保に努めていく方針でおります。
学会の規約、内規に関しても変更がありました。一つは学会誌編集委員の選出に関わる内規の変更で、これまでの支部選出方式を廃止し、他の委員会と同じように理事会による委嘱とすることとしました。編集の公平性を確保しつつ、支部への過剰な負担や偏りをなくすための措置です。また、長年本学会に設置されていたロシア語教育委員会を拡大改組し、あらたに「社会連携委員会」を設置することも決まりました。ロシア語教育研究のみならず、本学会の会員が専門とする諸研究分野で、他の学会や団体、組織などと連携して活動を行うための委員会という位置づけとなります。
2018/19年度の学会関連行事としては、第10回スラブ・ユーラシア研究東アジア大会が6月29、30日の2日間、東京大学本郷キャンパスを会場に実施されたことをご報告しておきましょう。本学会が会員となっているJCREESが主催者となり、日本、韓国、中国などからスラブ・ユーラシア地域をフィールドとする人文・社会系の研究者が200名以上集まり、熱心な議論と交流が行われました。来年2020年8月にはカナダのモントリオールでICCEES本大会が開催されます。こちらは11月はじめの現時点でまだエントリーを受け付けております。また若手を中心とした旅費支援の制度もできました。学会HP、またJCREESのHPに情報が掲載してありますので、ご覧ください。
2019年の夏から10月にかけて、日本列島はまたも豪雨や台風の被害に見舞われました。台風15号や19号では、停電や交通機関の停止などで不自由な思いをされた会員の方もいらっしゃることでしょう。深刻な被害に遭われた全国の方々に本学会からお見舞いを申し上げるとともに、8月末の九州北部豪雨、9月の台風15号、そして10月の台風19号で被災された会員の方には、2019/20年度の会費免除の措置をとることも総会で承認されました。該当する方は、事務局までお申し出ください。
来年2020年の全国大会は第70回という節目の大会となり、大阪大学での開催を予定しています。本学会の活動のさらなる活性化のためにも、みなさん積極的にご参加ください。総会で承認された新理事会メンバーで、これからの2年間、学会を運営していきたいと思います。会員各位のご協力をお願いいたします。