学会関連その他の催し
 
第4回日本ロシア文学会大賞
受賞記念講演

20世紀ロシアの人文知の魅力

Очарование гуманитарного знания
России 20-го века

桑野 隆 氏
早稲田大学・総合科学学術院教授
Профессор Такаси Кувано
は盛会のうちに終了しました。
ご来場頂いた皆様に
御礼申し上げます。
 

日本ロシア文学会事務局

〒338-0825
さいたま市桜区下大久保255

埼玉大学人文社会科学研究科

野中進研究室気付

日本ロシア文学会事務局

Fax 048-858-3685
「野中進宛」と明記してください。

E-mail: 事務局へのご連絡

 
学会HPの旧版
(2004年2月-2010年5月)は
こちらからご覧頂けます。
 
オンラインユーザー24人

日本ロシア文学会賞 受賞のことば

 

2017年度 日本ロシア文学会賞

 

 論文の部 受賞者(2名)

高橋 知之(たかはし ともゆき)氏
【論文】「反省と漂泊:アポロン・グリゴーリエフの初期散文作品について」(『ロシア語ロシア文学研究』第48号)
 プロフィール(2017年7月現在)
東京大学文学部言語文化学科現代文芸論専修課程を卒業後、2009年に同大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻現代文芸論専門分野修士課程に入学。2011年に修士課程を修了し、博士課程に進学、2017年に単位取得満期退学。現在は東京理科大学理工学部非常勤講師。専門は、1840年代を中心とする19世紀ロシア文学。
受賞のことば
この度は名誉ある賞を賜り、望外の幸せに存じます。審査に携われた先生方、査読してくださった先生方、日頃よりご指導いただいております先生方、先輩方、そして勉強会や読書会で有意義な時間を共にしてきた友人たちに、心より御礼申し上げます。

1840年代のロシア文学史を捉え直すための手掛りとして、グリゴーリエフの存在に着目したのが、研究の出発点でした。本論文が描いたのは、既成の構図には収まらない、特異な思想的相に位置するグリゴーリエフの探求です。一方で執筆に際しては、本来の問題意識から逸れないよう、多少とも禁欲的になる必要もありました。論文の執筆は、グリゴーリエフが孕む様々な可能性を発見していく過程でもあったからです。たとえば、ポスト・ヘーゲル時代の思想という観点からみれば、キルケゴールとの親縁性を指摘することもできるでしょう。また、反省的自己意識の表現という観点からみれば、日本近代文学との比較も可能かもしれません。それらの可能性を究めていくことが私の今後果たすべき課題であり、そして、グリゴーリエフに対する責任でもあると思っています。

改めて、今回の受賞は私にとって大きな励みとなるものでした。私のグリゴーリエフ研究はまだ始まったばかりですが、研究を地道に発展させていくことが、感謝の気持ちを表すことだと思っております。今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

伊藤 愉(いとう まさる)氏
【論文】「現実を解剖せよ──討論劇『子供が欲しい』再考」(『メイエルホリドとブレヒトの演劇』玉川大学出版部,2016年,247頁−280頁)
 プロフィール(2017年7月現在)
早稲田大学商学部卒業後、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程に入学。2009年同博士課程進学。現在、日本学術振興会特別研究員(大阪大学)。専門はロシア演劇史。
受賞のことば
この度は拙論「現実を解剖せよ──討論劇『子供が欲しい』再考」(キャサリン・ブリス・イートン『メイエルホリドとブレヒトの演劇』玉川大学出版部、所収)に学会賞を授与いただき、ありがとうございます。学会誌ではない媒体に掲載したものでありながら、賞をいただけることとなり、審査員の先生方に心より感謝申し上げるとともに、編訳という形で発表の機会を与えてくださった谷川道子先生および玉川大学出版部の方々に厚く御礼申し上げます。

拙論でとりあげたトレチヤコフの戯曲『子どもが欲しい』は、演出家メイエルホリドが上演を計画しつつも、舞台作品としては未完に終わったものです。ただ、その計画には、トレチヤコフおよびメイエルホリドとドイツ人演出家・劇作家ベルトルト・ブレヒトの親和性を読み取ることができます。それは、やや大上段に構えて言えば、社会において演劇を実践する意味を問う態度でした。そうした文脈において、同時代社会が直面している問題を「素材」として提示しようとしたトレチヤコフとメイエルホリドの実践を、上演分析という形にこだわらずに、文化史に位置づけながら論を展開することを試みました。演劇史研究は、実際の上演を確認することができず、まして『子どもが欲しい』は未上演という制約もあり、やや強引に論を展開したところもありましたが、今回このような形で評価してくださり、大変ありがたく思っております。今後とも勉強を重ね、日本のロシア文化研究に寄与していきたいと思っております。ありがとうございました。
 

2016年度日本ロシア文学会賞


(著書の部)
 大野 斉子 氏
 プロフィール(2016年9月現在)
 東京大学文学部言語文化学科スラヴ語スラヴ文学専修課程卒業後、1998年東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻スラヴ語スラヴ文学専門分野修士課程に入学、2000年同博士課程進学。2006年博士(文学)取得。青山学院女子短期大学非常勤講師、東京大学非常勤講師などを経て、現在は宇都宮大学国際学部専任講師。専門は19世紀ロシア文学、近現代ロシア文化。
 受賞の言葉
日本ロシア文学会賞をいただけましたこと、心から嬉しく、光栄に存じます。多くの優れた著作の中から選考して下さいました委員の先生方、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。執筆と研究にあたっては、多くの先生方に専門的なご助言を賜り、友人たちからは励ましの言葉をいただきました。群像社の方は企画段階から長い期間を支えてくださいました。お一人おひとりの温かいお言葉やご助力が、研究者として成長させてくれたと思います。この場をお借りして、みなさまに心からの感謝を申し上げます。

東京大学の研究室に所蔵されていた一際美しい香水の本が、この研究の出発点でした。調べるほどに広がっていく香りの世界には、底なしの深さがありました。拙著ではロシアの香水文化の再発見を目指すとともに、本の舞台となる帝政期のロシアで、香りと響きあった文学、芸術、生活、産業などあらゆるものを手掛かりにして、何とか香りの魅力や謎に迫ろうと取り組みました。

受賞は大きな励みになると同時に、ロシア文学、文化の研究者としての役割を改めて考える機会となりました。日本ロシア文学会で積み重ねられた研究の営為に連なり、ロシアの人文諸学の発展に貢献できるよう、これから一層、力を尽くしていきたいと思います。

(論文の部)
 竹内 ナターシャ 氏
 プロフィール(2016年9月現在)
2011年、早稲田大学文学部ロシア語ロシア文学コース卒業。同年、文学研究科ロシア語ロシア文化コース修士課程に入学。2014年修士課程を修了し、現在博士後期課程に在籍中。専門はフョードル・ソログープの作品をはじめとするシンボリズム文学や演劇。
 受賞の言葉
今回は、このような名誉ある賞を賜る運びとなり、誠に光栄に存じます。まず、研究者としてまだまだ未熟な私が論文を執筆するに当たり、親身になってアドバイスをくださった先生方とゼミの皆さま、そして査読に当たられた皆さまに心からお礼を申し上げます。

受賞のお知らせを頂いた時には、ただただ驚くばかりでした。ソログープは詩人、 作家としては日本のロシア文学研究者の中では知られているといえますが、その演劇に対する熱心さにも関わらず演劇というテーマと結び付けられることは多くありませんでした。とはいえ、例えばメイエルホリドやエヴレイノフの演出について論じられる場合などは大抵『死の勝利』は言及されますし、国外ではソログープの戯曲というのは研究対象としてある程度確立しているといえます。確かに、劇作を含めたソログープの演劇との関わりはシンボリズム演劇の興隆と共に始まっており、その演劇理念も潮流の中にあって形作られているといって間違いではないのだと思います。ですが、当然ながら作家のある種の理念は特定の潮流の中で突然生まれるものではありえず、今回なら、ソログープの演劇理念の萌 芽を創作の黎明期に求めるのは自然なことでもありました。そして、初めて読んだ作品でもある『光と影』の、影絵芝居の観客となったような自分の感覚がきっかけとなったのも確かです。『光と影』という作品論としては論じ切れなかった部分もありますが、今回の試みを出発点として今後研究を進めていく上で、また改めて取り組むこともあるでしょう。

ともあれ、「ソログープ的」なテーマに迫るにしても、演劇理念に迫るにしても、一見すると遠回りの方法をとった拙論をこのように評価していただいたことを有難く存じると共に、非常に身が引き締まる思いです。今後も、皆さまのご指導に助けて頂きながら邁進していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 

2015年度日本ロシア文学会賞


(著書の部)
 本田 晃子 氏
 プロフィール(2015年9月現在)
 早稲田大学教育学部教育学科教育学専攻卒業後、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学表象文化論分野修士課程に入学、2004年同博士課程進学。2011年博士(学術)取得。北海道大学スラブ研究センター非常勤研究員、日露青年交流センター日本人若手研究者フェローなどを経て、現在は早稲田大学高等研究所研究員(助教)。専門は20世紀ロシア建築、表象文化論。
 受賞の言葉
この度は学会の名を冠した名誉ある賞を拙著に授けていただき、どうもありがとうございます。審査に関わられた皆さま、本著の執筆にあたりご指導いただいた先生方、折に触れ励ましてくれた友人たち、そして本書を出版まで導いて下さった東大出版会の方がたに、改めて厚く御礼申し上げます。

ロシア構成主義の建築家イワン・レオニドフは、実作というべきものをほぼもたない、いわば紙上の建築家でした。しかも1930年代には、アヴァンギャルド批判の槍玉に挙げられ、その名は生きているうちから忘れ去られてしまいます。本書の中では、スターリン時代から続くこのような人為的な忘却に抗し、レオニドフ建築の可能性、そしてソ連邦という共同体の建設過程におけるアンビルトの建築の意味を、新しい視点から再提起することを試みました。

しかし5年間にわたる執筆の過程は、一次資料が絶対的に不足する中、どこまで作品解釈に踏み込むべきかという迷いの連続でした。それをこのような形で評価していただき、大変喜ばしく、またわずかながら安堵も感じております。今後もいわゆる建築史の範疇には入らない、イメージとしての建築や都市を論じていきたいと考えておりますので、何卒ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

(論文の部)
 小俣 智史 氏
 プロフィール(2015年9月現在)
早稲田大学第一文学部哲学専修卒業後、2005年に早稲田大学大学院文学研究科ロシア文学専攻修士課程入学、2007年に同大学院ロシア語ロシア文化コース博士後期課程入学。2011年から2014年まで早稲田大学文学学術院助手。2014年より早稲田大学文学学術院非常勤講師。専門はニコライ・フョードロフをはじめとするロシア思想。
 受賞の言葉
このたびは拙論「フョードロフにおける合唱の概念」に日本ロシア文学会賞を頂き、大変光栄に存じます。査読や編集、学会賞選考に携わられた方々に厚く御礼申し上げるとともに、これまでご指導下さった先生方や貴重なアドバイスを下さった諸先輩方、ゼミやコースの仲間たちに深く感謝申し上げます。

フョードロフの名はロシア思想やロシア文学の分野において近年知られるようになってきましたが、その独特な思想を読み解きしかるべく位置づけるためには、思想形成の過程や思想的・文化的背景との関連など研究すべき課題がまだ残されていると思います。そこで本論文では当時の思想的文脈との接点として合唱の概念に着目することにより、フョードロフの思想を同時代のコンテクストと結びつけ、その思想形成の過程を明らかにするための新たな足掛かりを見出そうと試みました。

今回の受賞を励みとして、より広い視野をもちつつ新たな視角から研究を進めることができるようこれからも努めてゆきたいと思います。みなさまには今後ともご指導頂けますようよろしくお願い申し上げます。
 

2014年度日本ロシア文学会賞


著書の部
宮川 絹代 氏
 プロフィール(2014年8月現在)
青山学院大学国際政治経済学部卒業後、モスクワ大学に留学、文学部マギストラトゥーラ修了。帰国後、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程に入学し、2011年、同大学院博士課程修了。現在、東京大学教養学部非常勤講師、明治大学理工学部兼任講師。専門は20世紀ロシア文学、ロシア亡命文学。特に、ブーニン文学における知覚とイメージ。
受賞のことば
拙著に学会賞をいただくことになり、戸惑うほどのありがたさを噛み締めている。ブーニン文学に関する私のささやかな研究を手にとり、読んでくださった方々、学会賞選考委員会の方々に、心からお礼を申し上げたい。また、繰り返しの校正にお付き合いくださり、本にしてくださった水声社の方々、これまでさまざまな場面で支え、導いてくださった先生方や友人たち、そして家族にも、深く感謝している。

学部で国際政治学を専攻していた私は、半ば強引に文学に方向転換した。そのときも、今回のブーニン論を書き終えたあとも、文学は変らず果てしなく、その果てしなさに呆然としながらも、引きつけられ、吸い込まれて、逃れられない。けれどもまた、立ち向かうべく論じてみれば、そこから零れ落ちていくものを前に、今度は、己の研究の果敢なさがいたたまれない。

多くの課題を抱える私の研究にとって、今回の受賞は大きな励みになった。ここからまた、新たな気持ちで文学に向き合っていきたいと思っているので、みなさまには、どうか今後もご指導くださるよう、この場を借りてお願い申し上げたい。

論文の部
澤 直哉 氏
 プロフィール(2014年8月現在)
2010年に早稲田大学第一文学部ロシア語ロシア文化専修を卒業後、同大学院文学研究科ロシア語ロシア文化コース修士課程に入学。2012年から同博士後期課程在籍。専門はウラジーミル・ナボコフのロシア語期作品を中心とするロシア20世紀文学。
受賞のことば
このたびはウラジーミル・ナボコフの最初の長篇『マーシェンカ』読解の試みである拙論にこのような賞を賜り、心より光栄に存じます。査読と審査の労を取られた先生方に、厚くお礼申し上げます。

もとより「書物を読むことはできない」と語った作家の作品を読み解くこと自体が倒錯となりかねませんし、文学研究の方法がますます多様化するなかあくまで作品読解に留まるという態度は、きわめて素朴とも映ることでしょう。しかしかの「読むことはできない」という、読み手から「読むこと」を奪う放言から超越性を剥ぎ取り、書き手がそう語る必然に迫るためには、やはり作品という具体が不可欠でした。換言するならば、「読むことはできない」という手応えのなさを、この多様化と拡散の時代にあってなお「作品」から受け取ることのできる、かすかな手応えとして奪い返し得るのではないか。その無防備な希望だけが、この拙い試みを支えているように思います。

今後の研究においてはより一層の具体性による防備が求められますし、未だ決定的な手応えを欠くものの、その端緒であるこの試みが「読まれた」という確かな証を与えてくださったことに、重ねて深く感謝申し上げます。
 


2018年度の日本ロシア文学会賞

候補をご推薦ください。

推薦募集の締切:
2018年1月31日

詳細はこちら
 

締め切り間近

日本ロシア文学会大賞(2018年度)
受賞候補者推薦のお願い
推薦募集の締切:
2017年12月31日(日)

詳細はこちら
 
掲載依頼・情報の窓口
 

『ロシア語ロシア文学研究』
第50号への投稿エントリーは
2017年11月30日(木曜)24時

をもちまして締め切りました。

 
第 67 回(2017 年度)
定例総会・研究発表会は
盛会のうちに終了しました。
詳細はこちらから

67-я ежегодная  конференция
ЯАР проходит 14-15 октября
в Университете Дзёти.
 
関西支部会報2016/2017 (No2)
を掲載しました。
こちらからご覧ください。

関西支部会報2016/2017(No.2)
 
1032546