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2018年度 日本ロシア文学会賞 選考結果


 2018年度の日本ロシア文学会賞の受賞者が決まりました。

2018年度 
 【論文】生熊 源一 氏「息の転換ー「集団行為」における対物関係ー」(『ロシア語ロシア文学研究』第49号、2017年、1頁-27頁)

受賞者のプロフィールと受賞のことば

 講 評(『ロシア語ロシア文学研究』第50号に掲載予定)
生熊氏の論文は、1970年代に始まるソ連非公式芸術の潮流のひとつモスクワ・コンセプチュアリズムのグループである「集団行為(Коллективные действия)」が表現しようとした人間とモノとの関係を、人間によるモノへの「息の吹込み」や「呼吸」という視点から捉え直そうとしたものであり、「集団行為」およびコンセプチュアリズムの研究に新たな一石を投ずる大変優れた論文である。

コンセプチュアリズムの芸術家たちが目指したのは、美術品と一般のモノとの区別を取り払うことであり、そのためにもろもろのオブジェやイメージを作品に取り込んでいったが、生熊氏は、コンセプチュアリズムの研究者エレーナ・カリンスキーの重要な指摘を発展させるキーとして「息の吹込み」や「呼吸」に着目する。カリンスキーが指摘したのは、「グループ「集団行為」を率いたアンドレイ・モナストゥイルスキーの初期の作品の背景には、「物理的にも談話的にもモノを活性化するための、観客に対するモノとの触れ合いの要求がある」が、1982年以降これらのモナストゥイルスキーのモノたちは、モノの活性化というコードから離脱することによって「より謎めいた性格を帯びるようになる」という点である。生熊氏は、モノを活性化させる欲求がいかにしてコードを解体するような謎へと変容したかというこの問題が、モナストゥイルスキーおよび彼が率いる「集団行為」の作品に見られる「息の吹込み」や「呼吸」というモチーフの扱い方の変容・転換という問題と重なり合っていることを見事に解明して見せる。つまり、当初モノを活性化させる目的ではじめられた、風船への吹込みのイメージ画や黒い箱に参加者が自分で吹き込んだ息の音を箱から伸びている管を通して耳にするオブジェクト《喧噪と静寂》などで表現される、モノへの「息の吹込み」というモチーフが、息を吹きかけるとすぐさま倒れてしまうオブジェクト《ここを吹け》というモノとの衝突をイメージさせるモチーフを経て、最終的には、雪原に置かれた黒い箱の中で沸騰したやかんから出る蒸気を参加者が観察するだけというオブジェクト《隕石の音楽》のように、モノへと吹き込まない「非吹込み型」の呼吸のアクションというモチーフへ変容・転換していくプロセスこそが、カリンスキーが指摘したモノの活性化への欲求が解体されていくプロセスの謎であることを実証してみせているのである。生熊氏は、このプロセスから、グループ「集団行為」は、「人が息を吹き込むことでモノが活性化するという構図を解体していくと同時に、吹込みという身振り自体を見つめられるものとしての謎に組み替えようとした」と看破している。

モナストゥイルスキーが提示する「呼吸」と記号との連関が、コンセプチュアリズムの作品にとどまらず、ソ連社会神話という全体主義社会にまで想定され、モナストゥイルスキーにおいては、「モノと呼吸」が「全体主義において唯一残された、とはいえ狂気をはらんだ個人的圏域」として描き出されているという生熊氏の鋭い指摘は大いに示唆的である。

選考委員からは、今後の研究課題として、コンセプチュアリズム以前のロシア文化における「呼吸」というコンセプトの歴史的位置づけならびにコンセプチュアリズムとの関連の研究への期待が表明されたことを付記しておきたい。

日本ロシア文学会賞選考委員長 井上幸義

 

2018年度 日本ロシア文学会大賞選考結果


 2018年度の日本ロシア文学会大賞の受賞者が決まりました。

 受賞者
澤田 和彦 氏(埼玉大学名誉教授)
受賞のことば
授賞理由

日本ロシア文学会大賞も今回で5回目を迎える。これまで本賞は、学会以外でも広く知られた名高い研究者を顕彰すると同時に、専門家以外にはあまり知られていないが、その業績がもっと注目されてよい方々も選考の対象にしてきた。今回授賞が決まった澤田和彦・埼玉大学名誉教授は、その地道な研究が国際的にも高く評価されているにもかかわらず、日本の学会では真価が十分理解されていないという意味で、まさしく授賞にふさわしい方だと委員会は判断した。

澤田氏の研究は多岐にわたっているが、中心的なものは次の2つである。

1)19世紀ロシア作家ゴンチャローフの研究:澤田氏はとりわけ『フリゲート艦パルラダ号』の時代考証、本文校訂で多大の貢献を行い、現在刊行中のアカデミー版ゴンチャローフ全集の編集者にも加わっておられる。さらに、2017年には国際ゴンチャローフ学会において国際文学賞(研究者部門)を受賞されているが、これらは澤田氏のゴンチャローフ研究が世界的な評価を受けていることの証左であろう。

2)日露交流史:澤田氏は主著『白系ロシア人と日本文化』(成文社、2007年)において、ロシア革命後日本に亡命してきた白系ロシア人が日本文化・社会にもたらした影響を実証的に、ミクロなレベルから検証されているが、とりわけ第10章、第11章の書誌は、日本の日露交流史研究の今後の発展の礎を築いたもので、欧文でも発表され、世界的にも高い評価を受けている。なおこの著によって澤田氏は、早稲田大学から博士号を取得されている。またこの続編とも言える『日露交流都市物語』(成文社、2014)は、日露12の都市を舞台に日露文化交流の実態を実証的・総合的に論じて、当時の人々の生活を浮き彫りにしている好著である。

このほかポーランドの民族学者ブロニスワフ・ピウスツキの研究、来日ロシア人の研究など澤田氏の研究は幅広いが、さらにいくつかの学会、大学で後進の育成に当たって来られたことも忘れられない。

このように澤田氏の研究は、日本国内にとどまることなく国外でも高く評価されており、極東やチェコの研究機関、図書館などを訪れると澤田氏の名前がいかに広く知られているかが実感できる。
以上の理由から日本ロシア文学会大賞選考委員会は、2018年度の日本ロシア文学大賞候補者として澤田和彦・埼玉大学名誉教授を推薦することを決議した。

日本ロシア文学会大賞選考委員長 諫早勇一


 

学会賞について


日本ロシア文学会には次の3つの賞があり,現行の賞は「日本ロシア文学会賞」「日本ロシア文学会大賞」の2つです。


 日本ロシア文学会賞(2004年度 ---)
優秀報告賞の表彰は、2001年秋の研究発表を対象とした2002年度をもって終了し、2004年度より、ロシア文学会賞を新設する。ロシア語、ロシア文学、ロシア文化等に関する研究で、日本ロシア文学会会員が対象期間内に発表した著書・論文を対象とする(著書が対象となるのは2011年度から)。
 歴代受賞者についてはこちらをご覧ください。

 日本ロシア文学会大賞(2014年度 ---)
新進・若手の研究者を対象とした従来の「日本ロシア文学会賞」に加え、それより上の世代の研究者、会員の方を受賞対象とする「日本ロシア文学会大賞」を新設する。ロシア語、ロシア文学、ロシア文化の研究、教育、普及、翻訳に長年携わり、多大な業績をあげた会員の功績を顕彰する。
 歴代受賞者についてはこちらをご覧ください。

 学会報告優秀賞・奨励賞(1989年度 --- 2001年度)
ロシア文学会第三代会長、故中村白葉氏の寄付による基金を運用して、学会活動の中心となる研究発表の活性化を質の向上をはかる試みとして始まったもの。毎年秋に開催される総会・研究発表会においておこなわれた研究発表を対象とし、優れた発表を選んで賞を与える。 
 歴代受賞者についてはこちらをご覧ください。